【循環小数2】IQテスト風クイズで接続数の隠れた法則を見つけよう!

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概要:【はじめに】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics

前回:【循環小数1】接続数と分数のただならぬ関係 - dedemoni's mathematics

 

はじめに

前回は接続数と分数の循環小数の間に下のような関係があることがわかりました!

結果1

対になっている
接続数 a^2+b^2 と非接続数  c^2+d^2
(接続数  c^2+b^2 と非接続数  a^2+d^2
について、それらを求める際に出てくる途中式を
10^{2n}+1 = (s^2+t^2)(u^2+v^2)
としたとき s, t をうまく選ぶと

\cfrac{s^2}{s^2+t^2} 循環小数部分が
 a^2+b^2-1   c^2+d^2-1 
 c^2+b^2-1   a^2+d^2-1
を接続した数になる 。

ただし接続する順序は問わない。


今回は上の結果1を証明するために、x^2+y^2=10^nx+y  の整数解  a,b,c,d と上の  s,t,u,v の間にある重要な関係を明らかにしていきます!

 

s,t,u,v の正体

\cfrac{3^2}{73}=0.1232876712328767... のように

  \cfrac{3^2}{73} 循環小数部分が

 12^2+33^2 -1 88^2 +(-32)^2-1 をその順で接続した数になっているとき、独自に記号を用いて下のように書くことにします。

  \Bigl(\;  \cfrac{3^2}{73} \; | \,12,33,88,-32 \Bigr)

 

 n= 2, n= 3, n = 4 のときの分数と(非)接続数の関係を全て網羅すると下のようになります。

 

  \Bigl(\;  \cfrac{3^2}{73} \; | \,12,33,88,-32 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{8^2}{73} \; | \, 88,-32,12,33 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{4^2}{137} \; | \,12,-32,88,-33 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{11^2}{137} \; | \,88,33,88,12 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{10^2}{101} \; | \,990,100,10,-99 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{1^2}{101} \; | \,10,-99,990,100 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{99^2}{9901} \; | \,990,-99,10,100 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{10^2}{9901} \; | \,10,100,990,-99 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{1^2}{17} \; | \,588,2353,9412,-2352 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{4^2}{17} \; | \,9412,-2352,588,2353 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{588^2}{5882353} \; | \,588,-2352,9412,2353 \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{2353^2}{5882353} \; | \,9412,2353,588,-2352 \Bigr)

 

 n= 3 の解を出すのはこれが初めてでしたね。

これは  10^6+1 = 101 \times 9901 = (1^2+10^2)(99^2+10^2) より、【数遊び編1】でやった方法から得られます。

 n= 2, n = 4 のときの分数は前回見た通りです。

クイズ:2つの規則

実は、今列挙した12個の関係式からある2つの規則性が見えてきます!

しかもそれは、もしかしたら小中学生でも気が付けるほど単純な規則です。

それでいて(非)接続数の最も重要な性質でもあります。

規則性を見つけるIQテスト問題を解くような感覚で考えてみてください!

とはいえ情報が多すぎるので必要な部分だけ抜き出してまた列挙します。

  \Bigl(\;  \cfrac{●^2}{●^2+◆^2} \; | \,x,y,z,w \Bigr) のうち、  ●, x, y の部分だけ抜き出して  (● \, | \, x, y) と省略して書いています。

補足すると2つ目の規則は、1つ目の規則よりは気づき辛いけれど1つ目の規則がヒントになると思います。

 

ではどうぞ!!

 

  (3 \,| \,12, 33)     ( 8\,| \,88, -32)

  (4 \,| \,12, -32)  (11 \,| \,88, 33)

 

  (10 \,| \,990, 100)   (1 \,| \,10, -99)

  (99 \,| \,990, -99)  (10 \,| \,10, 100)

 

  (1 \,| \,588, 2353)           (4 \,| \,9412, -2352)

  (588 \,| \,588, -2352)   (2353 \,| \,9412, 2353)

 

 

 

 

 

 

 

 

答え合わせ

どうでしょうか?

二つ目はわかりづらいと思います。一つ目はわかったかもしれませんね。

では答え合わせします。

 

一つ目の規則は、

 (● \, | \, x, y) で   ● x, y の最大公約数になっているという規則です!

 (3 \, | \, 12, 33)31233 の最大公約数になってますね!

 

そして二つ目の規則は、具体例で説明すると

  (3 \,| \,12, 33)     ( 8\,| \,88, -32)

  (4 \,| \,12, -32)  (11 \,| \,88, 33) のとき

  3 \times 4 =12  3 \times 11 =33

  8 \times 4 =32  8 \times 11 =88

と、 上下もしくは斜めの位置関係の  ● を二つかけた値は、その二つの  ● の右側の二数のうち共通している数(の絶対値)になるというものです。

 (3 \,| \,12, 33) (4 \,| \,12, -32) では   3 \times 4 =12  12 が確かに右側で共通してますね!

 

より一般の形でこの規則を説明します。

今までは、10^{2n}+1 = (s^2 + t^2)(u^2+ v^2) のときの s, t, u, v の取り方に特に指定はありませんでした。
例えば、n=2 のとき、 s3,4,8,11 のなんでもよかったわけです。ですが s, t, u, v を次のように定めます。

 (s \,| \,a, b)   (t \,| \,c, d)

 (u \,| \,a, d)   (v \,| \,c, b)

つまり

  \Bigl(\;  \cfrac{s^2}{s^2+t^2} \; | \,a,b,c,d \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{t^2}{s^2+t^2} \; | \,c,d,a,b \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{u^2}{u^2+v^2} \; | \,a,d,c,b \Bigr)

  \Bigl(\;  \cfrac{v^2}{u^2+v^2} \; | \,c,b,a,d \Bigr)

ということです。

  \Bigl(\;  \cfrac{s^2}{s^2+t^2} \; | \,a,b,c,d \Bigr)  \cfrac{s^2}{s^2+t^2} 循環小数部分が、 a^2+b^2 -1c^2 +d^2-1 をその順で接続した数になっているという意味でした。

 

実はクイズの12個の並びも

  (s \,| \,a, b)   ( t \,| \,c, d)

  (u \,| \,a, d)   (v \,| \,c, b)

となるように並べました。

これは

 ( a,b,c, d)=(12,33,88,-32),(990,100,10,-99),(588,2353,9412,-2352) から確かめられます。

 n= 2, n= 3, n = 4 a を順に 12, 990, 588 としている)

 

そのため、左上が  s.  右上が  t,  左下が  u.  右下が  v になるので 

 n= 2 のとき  \boldsymbol{s=3,\; t=8,\; u=4,\; v=11 }

 n= 3 のとき \boldsymbol{s=10,\; t=1,\; u=99,\; v=10}

 n= 4 のとき  \boldsymbol{s=1,\; t=4,\; u=588,\; v=2353 }

s, t, u, v が定まります。

 

 

そしてクイズによって、  s, t, u, v   を  (s \,| \,a, b) ,  (t \,| \,c, d) ,  (u \,| \,a, d) ,  (v \,| \,c, b) と定めるときに下二つの規則が成り立つことがわかります。

規則1
 s=\gcd( a, b ),\; t=\gcd(c, d) , \;
u =\gcd(a, d) ,\; v=\gcd (c, b)
※ここで \gcd(a, b)a, b の最大公約数を意味する記号です。
 
規則2
 a = su,\:\;b=sv,\:\: c=tv,\:\; d=-tu
規則2で、d は負であるからマイナスが付きます。

 これは下を見ながら規則2を考えるとわかりやすいと思います。

     (s \,| \,a, b)   ( t \,| \,c, d)

     (u \,| \,a, d)   (v \,| \,c, b) 

 

10^8+1 = 17 \times 5882353 = (1^2+4^2)(588^2+2353^2)  で接続数  5882353  が出てきた理由は  s=1規則2より  a=u,\;b=v となって  (s^2+t^2)(u^2+v^2)=(s^2+t^2)(a^2+b^2) となるからだとわかります!

 

そうでした!もともと s, t, u, v は途中の計算式 10^{2n}+1 = (s^2+t^2)(u^2+v^2) から出てきた数です。したがって下も成り立ちます。 

規則3
 (s^2+t^2)(u^2+v^2)=10^{2n}+1

 

タイトルにもある a, b, c, d s, t, u, v の関係が明らかになりました!

それにしても規則1規則2は美しい関係式ですよね!

なぜこんな式が成り立つのでしょうか。

 

次回は今回分かったことをヒントにして、いったんこれらを0から導出していきます!

そして最後にはようやく分数と接続数の関係を導出することができます!

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