円の格子点を複素数の素因数分解を用いて求める【複素数2】

(※この記事は以前の記事を読まなくとも問題ありませんが、以前に接続数について解説したので、それに関する記述が若干あります)

 

はじめに

例えばですけど、  x^2+y^2 =131x+83y は原点を通る円の方程式ですが、その円周上にある格子点の求め方はわかりますか。

この円の場合、下図のように -13 < x < 144 と x の範囲が絞られるのでこの範囲内でxをしらみつぶしに代入していけば答えは得られます。

ただ、この方法だと大変ですし偶然整数になっている解を集めている感じがします。

しかし、格子点は偶然ではなく、とある規則に基づいて精巧に配置されています。

原点を通る円の場合、もっと本質的で、エレガントに格子点を求める方法があるのでこの記事ではそれをご紹介します!

具体的には、この円(  x^2+y^2 =131x+83y )の格子点は複素数  131+83i の因数と一対一対応するという性質を用いて求めていきます!

その前に、軽く複素数素因数分解について説明しますね!

 

複素数素因数分解できる!

5や13は素数ですが、なんと複素数の世界では素数ではなくなります!

 5=(2+i)(2-i),13=(3+2i)(3-2i) と、さらに分解できてしまうのです。

それに対してここで出てきた 2+i,2-i,3+2i,3-2i などはこれ以上分解できません。

これらは(複素数の世界での)素数です。

 

この素数を用いると、複素数素因数分解できることがわかります!

試しに 8+i素因数分解してみましょう!

 

まずは、共役複素数をかけたもの素因数分解します。

 (8+i)(8-i)=65=5×13 

5と13は先ほど分解しましたね!

 (8+i)(8-i)=(2+i)(2-i)(3+2i)(3-2i) 

 この式より、 8+i の素因数は右4つの素数のどれかだと絞れます。

正解の組み合わせを探すと \boldsymbol{8+i=(2-i)(3+2i)}素因数分解できます!

(余りから 8-i=(2+i)(3-2i) もわかります)

これでようやく本題に入れます。

 

複素数の因数と円の格子点

原点を通る円の方程式は、一般に  x^2+y^2 =px+qyp, q は整数)と表す事が出来ます。(式の形から接続数  x^2+y^2 =10^nx+y の一般化になっていることもわかります)

この円の整数解は、以下のようにして解くことができます!

原点を通る円の整数解
複素数 p+qip+qi=(s+ti)(u+vi) ( s,t,u,v は整数) のように二つの複素数因数分解できたとき、a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu と置くと、(x,y)=(a,b), (c,b),(a,d),(c,d) の4点は  x^2+y^2 =px+qy の円周上の格子点になる。

(接続数の求め方の式の t-t と置き直しため、符号が少し異なる点にご注意ください。いままで  s,t,u,v自然数でしたがこの一般化では整数となります)

つまり、  x^2+y^2 =px+qy の格子点は p+qi を二つの複素数因数分解できたら、その実部と虚部 ( s,t,u,v ) をかけ合わせることで求められるということです!

証明に入る前に実際に一つの方程式  x^2+y^2 =8x+y の格子点を求めてみましょう!

先ほど、 8+i =(2-i)(3+2i)素因数分解できました。

このとき二つの因数に分ける方法は

(i)    (2-i)(3+2i)

(ii)  (1+0i) (8+i) の2パターンあります。

つまり、(i)の場合は   s=2,t=-1,u=3,v=2 となり、(ii)の場合は  s=1,t=0,u=8,v=1  

となります。

定理では、a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu と置くと、(x,y)=(a,b), (c,b),(a,d),(c,d) が整数解になるということなので、以下の八つの点は格子点になります。

(i) (x,y) =  (6, 4), (2, 4), (6, -3) , (2,-3)

(ii) (x,y) =(8, 1) , (0,1),  (8, 0), (0, 0)

このように複素数  8+i因数分解から整数解が求まりました!

また、8+i は (i),(ii) 以外には因数分解できないので、この方程式の格子点はこれらしかないこともわかります。

下図にこの8点を図示しました。この図から分かるように、1組の因数分解から得られる4点は円の中心に対して対称な4点になります。



では、この定理の証明をしていきましょう!(定理の逆は省きます)

(s+ti)(u+vi)=p+qi を展開して
 su-tv+(tv+tu)i =p+qi

 su-tv= p, \; sv+tu = q

になります。この式を  stuv = stuv に代入することで  tv, tu を消去します。

 su(su-p) = sv(q-sv)

展開して整理すると

  (su)^2+(sv)^2 = p(su) +q(sv)

これで (a,b)=(su,sv) が円上にあることを示せました!

他三つも同様にできます。 

 

そして逆に、 a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu を満たす整数 s,t,u,v を用いて (s+ti)(u+vi)=p+qi因数分解することもできます。(この証明は前回とほぼ同じなので割愛します。)

(証明終)

 

つまり、 p+qi因数分解と、 x^2+y^2 =px+qy の4対の整数解が一対一対応しているということです。

 

したがって p+qi素因数分解して因数を全て出せば、整数解を全て求めることができます!

 

原点を通らない円でも、整数解を一つ見つけてそれを原点に移動させればこの方法を使えます。

 

複素数といえば複素数平面です。

実は複素数平面で考えると円の格子点は図形的にも複素数と深い関係があることがわかります。次からはこれを説明していきます!

 

複素数平面で考えてみる

定理を再渇します。
原点を通る円の整数解
複素数 p+qip+qi=(s+ti)(u+vi) ( s,t,u,v は整数) のように二つの複素数因数分解できたとき、a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu と置くと、(x,y)=(a,b), (c,b),(a,d),(c,d) の4点は  x^2+y^2 =px+qy の円周上の格子点になる。

定理では、 p+qi=(s+ti)(u+vi)s+tiu+di から4つの格子点が求まりましたが、これらの因数が複素数平面のどこに位置しているか考えてみましょう。

 

複素数平面と座標平面を、座標平面上の点 (x,y)複素数平面上の x+yi を同一視すると、 \alpha =s+ti と置いたら \alpha複素数平面上で下図の青矢印に位置します。図には、  x^2+y^2 =px+qy も書きました。

  u\alpha =su+tui=a+di となるので複素数平面で  \alphau 倍した点は格子点 a+di となります。(※xy平面上で (a,d) は整数解でした)

 

\beta =u+vi とおいたら同様に、

 \betas 倍した点は格子点 a+bi に、

 i\alpha=-t+siv 倍した点は格子点 c+bi に、

 i\beta=-v+uit 倍した点は格子点 c+di になります。

複素数i をかけると90度回転するので、 赤矢印と黒矢印はなす角が直角になります。これは(a,b)(c,d) , (c,b)(a,d) を結んだ線分は中心を通るため直径になることからもわかります。

 

このように   p+qi の因数は、整数倍したら格子点になります。

逆に格子点 A(a+di)u= \gcd(a,d) (gcd:最小公倍数)とすると \cfrac{a+di}u =s+ti=\alpha p+qi の因数になるので  p+qi の因数と格子点は一対一対応していることがわかります。したがって格子点を対応する因数を用いて A[\alpha] などと [ \; ] 内に因数を書いて表記することにします。

これを見ると  \alpha \betai を掛けたら斜めの位置になり、x座標が同じ格子点の因数をかけると \pm(p+qi) になるように対の解は配置されるようですね。

 

因数と格子点は一対一対応しますが、  2+i 6+3i のように定数倍の違いだけの因数は同じ格子点に対応します。これは先ほどの定数倍の違いはパターン分けに関与しないのと同じ話です。

複素数が定数倍の違いだけの場合  2+i ≡ 6+3i  と   ≡ で結び、二数は合同であると呼ぶことにします。

 

四つの因数  1,i,p+qi, q-pi は下図の赤矢印の方向に位置するので、ちょうど自明の四つの解  O_1,O_2,O_3,O_4 に対応します。(向きが大事なので赤矢印の長さは適当です)

 q-pi は原点と接する方向の因数になるので原点と対応させます。

 

このように対応させると  p+qi の因数と  x^2+y^2 =px+qy  の格子点がうまく一対一対応していることがわかります。

 

そして格子点を複素数に対応させることで、ある嬉しいことがあります。

なんと、二つの因数のに対応する格子点の位置も簡単に割り出せるようになるのです!

 

二つの因数の積に対応する格子点の位置

下の定理1を見てください。

定理1  二つの因数の積の位置
  A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,],   X [\, \lambda \mu \, ] に関して AB / \!/ XO_2 が成り立つ 

 \chi= \lambda \mu と置いて、複素数平面に図示しました。

 \lambda = \cfrac{\chi }{\mu} より、赤角青角 になります。これは複素数平面の性質です。\lambda, \mu,  \chi の位置は A, B, X の位置とは異なりますが、方向は同じでしたね。)

円周角の定理より、赤角黄角青角緑角 であり、

円に内接する四角形なので、緑角紫角 になります。

したがって得られた4つの角の等式より 黄角紫角なので、AB / \!/ CO_2 です!

他の位置にあっても同様に証明できます。

(証明終)

 

この定理1によって因数  \lambda \mu に対応する AB の位置がわかればその積  \lambda \mu に対応する格子点 X の位置を割り出すことが出来ます。

今までの場合だと \alpha \beta = p+qi なので  X =O_4 で下が成り立ちます。

この場合だと因数が少ないのであまり恩恵を感じないですね。

 

では、冒頭に示した :\boldsymbol{ x^2+y^2 =131x+83y} で考えてみましょう!

 131+83i=(1-2i)(1+4i)(1+i)(6-i)素因数分解できます。今後は素因数を左から順に \alpha, \beta, \gamma, \delta と置いて説明します。

このとき二つの因数に分ける方法は

(  1 \;\;  | \;\;  \alpha \beta \gamma \delta )       ( \alpha \;\;  | \;\;  \beta \gamma \delta )        (\beta \;\;  | \;\;  \alpha \gamma \delta )        (\gamma \;\;  | \;\;  \alpha \beta \delta )        (\delta \;\;  | \;\;  \alpha \beta \gamma )        (\alpha \beta \;\;  | \;\;  \gamma\delta )         (\beta\gamma \;\;  | \;\;  \delta\alpha )         (\alpha\gamma \;\;  | \;\;  \delta\beta ) 

の八通りあるので整数解はその四倍の32個になります。

定理1より   \alpha \beta,  \gamma\delta, \beta\gamma, \delta\alpha ,\alpha\gamma ,  \delta\beta に対応する格子点は   \alpha,\beta,\gamma,\delta に対応する格子点がわかれば  O_2 [\, 1 \, ] を通る平行線との交点からその位置がわかります。下図で確認してみてください。

 A[\alpha] A などを省略して因数だけで格子点を表しているので注意してください。

このように p+qi が多くの素因数を持つ場合でも、素因数に対応する格子点の位置さえわかれば残りの格子点の位置も定理1を用いて平行線を引けば全て求めることが出来ます。

x座標、y座標が同じである対の解も描写すると下のようになります。これで整数解は全部です。


少し前に説明した通り、x座標が同じ格子点の因数をかけると全て \alpha \beta \gamma \delta = p+qi になり、ある因数に i を掛けたら斜めの位置に行くのが確かめられます。

格子点同士の平行関係

 x^2+y^2 =53x+59y の話にまた戻ります。

この図をもう少し観察してみます。どうやら他の格子点を結んだ線分も青色、赤紫、桃色、赤色、橙色、水色線分と平行な関係になりそうですね。これらと平行になる線分を全て描いたら下のようになります!

すごい量です!

いったいどういった規則性で平行になっているのでしょうか。それぞれの色の線分がどの点とどの点を結んだものなのか列挙してみて考えてみましょう!

青色

\alpha\gamma\deltai\gamma,    \alpha\gammai\gamma\delta,     \delta\alpha,      1\alpha\delta,      i\alpha\deltai,     i\alphai\delta,    \gamma\deltai\alpha\gamma,        \gammai\alpha\gamma\delta

赤紫

1\gamma\delta,    \delta\gamma,    i\gammai\delta,    i\gamma\deltai

桃色

i\gamma\delta\beta\gamma,    i\gamma\beta\gamma\delta,    i\beta\deltai,    i\betai\delta,    \delta\beta,    1\beta\delta,    i\beta\gamma\delta\gamma,    i\beta\gamma\gamma\delta 

赤色

i\alpha\betai,    \alpha\beta,    \beta\gammai\alpha\gamma,    i\gamma\alpha\beta\gamma,    i\alpha\beta\gamma\gamma,    \alpha\gammai\beta\gamma,    i\betai\alpha,    1\alpha\beta

橙色 

i\gammai\beta,    \beta \gamma1,    ii\beta \gamma,    \beta\gamma

水色

\alpha \gamma1,    i\gammai\alpha,    \alpha\gamma,    ii\alpha \gamma 

 

何か規則性っぽいものが見えてくると思います。

4本の平行線の赤紫、橙色、水色線分はそれぞれ \gamma\delta\beta\gamma\alpha\gamma が一つずつ出てきます。

8本の平行線である青色、桃色、赤色線分もそれぞれ \alpha\delta\beta\delta\alpha\beta が一つずつ出てくるパターンで4本と、そこに \gamma 二つと i が加わったものが4本あります。これで合計8本です。

i二つの \gamma というのは何なのでしょうか。

忘れていると思いますが、 \gamma = 1+i でしたね。i と二つの \gamma をかけてみます。

i\gamma^2=i(1+i)^2=-2 

ちょうど定数になりました!

複素数定数倍の違いだけの場合のことを合同と言いました。したがって、それぞれ下が成り立ちます!

青色 二数の積が \alpha \delta と合同

赤紫 二数の積が \gamma \delta と合同

桃色 二数の積が \beta \delta と合同

赤色 二数の積が \alpha \beta と合同

橙色 二数の積が \beta \gamma と合同

水色 二数の積が \alpha \gamma と合同

なるほど!平行になるなら対応する二つの因数の積がどれも合同になりそうですね!

例えば水色線分の場合は下が成り立っています。

 (i)(i \alpha \gamma) ≡ (\alpha)(\gamma)≡ (i\gamma)(i\alpha)≡(\alpha \gamma)(1)  

このように、下の定理2が成り立ちます。

定理2  因数の積が等しい ⇔ 平行関係
 A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,], C [\, \rho \,],  D [\, \omega \,] に関して
\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \rho \omega \;\;\;⇔\;\;\; AB / \!/ CD }

軽く説明します。

定理1\chi  p+qi の因数でなくても成り立ちます。このときは円上の点  X [\, \chi \, ] を原点と複素数平面上の点 \chi を結んだ直線と  x^2+y^2 =px+qy の原点でない方の交点とします。

したがって、 A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,], C [\,\rho \,],  D [\, \omega \,] に関して \lambda \mu \equiv \rho \omega が成り立つとき \lambda \mu  ≡  \rho \omega ≡ \chi と置いて、 \chi に対応する円上の点を X と置けば定理1より、 AB / \!/ XO_2 かつ  CD / \!/ XO_2 が成り立つため、 AB / \!/ CD が成り立ちます!

 

この定理2によって平行なら因数が等しいだけではなく、逆に因数が合同なら平行になります。これにより、上で描いたもの以外の平行関係も沢山求めることが出来ます。

つまり、青色、赤紫、桃色、赤色、橙色、水色線分の平行関係はごく一部に過ぎないことがわかります!

例えば

(i)(i \alpha) ≡ (1)(\alpha)≡(\gamma)(\alpha \gamma)≡ (i\gamma)(i\alpha \gamma)   

より、積が \alpha でもこの4本は平行になるし
 (\alpha\beta \gamma)(\alpha\beta \delta)≡(i\alpha\beta \gamma)(i\alpha\beta \delta)≡(\alpha\beta)(\alpha\beta \gamma \delta) ≡(i\alpha\beta)(i\alpha\beta \gamma \delta)  より、積が \alpha^2\beta^2 \gamma \delta でもこの4本は平行になります。 

他にも積が \alpha^2\beta, \alpha \beta \gamma, \alpha^2 \beta \gamma, \alpha \beta \gamma \delta, \alpha^2 \beta \gamma \delta, \alpha^2 \beta^2 \gamma \delta  などなど数え切れないパターンがあります。それに i\alphai\alpha^2\beta^2 \gamma \delta のように i を掛けたものもまた別の傾きの平行線になることも考えるとこの円の格子点同士にはとてつもない量の平行関係があることがわかります!

 

全ての平行関係を描いてみるとこうなります!

(う、うつくしい!!!)

なんだかずっと見てられますね

 

このように  x^2+y^2 =px+qy の格子点は一見たまたま整数になる点の集まりのように見えますが、本当は精巧で規則正しく配置されているってことを感じてもらえたら嬉しいです!

 

次回はおまけ回です。すっ飛ばしていた定理の証明や接続数  a,b,c,d 間に成り立つ関係式の一覧を載せておきます。特に関係式一覧は、接続数の対称性の美しさを感じられると思うので是非ご覧になってください!!

 

今までの記事はここからご覧になれます。

全体の目次【数遊び編】【代数・幾何編】 - dedemoni's mathematics

 

以前の記事の補足

以下は以前の記事への補足です。

定理2をもう一度もう少し考えてみます。
複素数の因数は定数倍すると円上の点になるので、 \lambda, \mu, \rho,\omega をそれぞれ定数倍した円上の点を順に \alpha, \beta, \gamma,\delta とします。それぞれの複素数を表す点が  A, B, C, D になりますね。
定数倍したものなので
\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \alpha \beta}, \;\;\;\boldsymbol{\rho \omega \equiv \gamma \delta} です。

つまり、\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \rho \omega} のとき \boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta} が成り立ちます。
したがって次の定理2’がいえます。

定理2’ 複素数の積が等しい ⇔ 平行関係
複素数平面の原点を通る円上に4点 A (\alpha),  B (\beta), C (\gamma), D (\delta) を取ったとき

\boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta \;\;\;⇔\;\;\; AB / \!/ CD }

※円上の点としたように、格子点でなくとも成り立ちます。

五桁の接続数を複素数平面にプロットしたことを思い出してください。
沢山の直線が平行になっていました。

定理2’によって、平行な関係となる四つの(非)接続数を表す複素数\alpha, \beta, \gamma,\delta としたとき、
\boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta} が成り立つことがわかります!
これが【はじめに】で紹介していたことですね。

dedemoni.hatenablog.com

 

【複素数1】10^n+iの因数と(非)接続数の一対一対応

はじめに

目次:全体の目次【数遊び編】【代数・幾何編】 - dedemoni's mathematics

概要:【はじめに】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics

前回:【循環小数4】すさまじい桁の接続数 - dedemoni's mathematics

 

いままでの要約と今回の目標

循環小数編を読んでないor忘れた人向けに重要部分を復習します!

\boldsymbol{5882353} という数字は

 \boldsymbol{588^2}  \boldsymbol{+}  \boldsymbol{2353^2}  \boldsymbol{=}  \boldsymbol{588}\boldsymbol{2353}

のように二乗の和が合体する接続数です。

 

また、接続数

\boldsymbol{\cfrac{1}{17}}\boldsymbol{=0.0}\boldsymbol{5882352}\boldsymbol{94117647}\boldsymbol{0588...}

のように分数の循環小数に出てくるという性質もがあります!
循環小数編ではこの理由について考えていきました。


接続数は二乗の和が合体する数なので

\boldsymbol{x^2+y^2=10^nx+y} 自然数にほかなりません。

この方程式は円の式なので対称性より整数解は4つ同時に出てきます。

このとき、解同士には下の関係式がありました。

4つの対の解どうしの関係式

(x,y)=(a.b), (c,b), (c,d), (a,d)x^2+y^2=10^nx+y の整数解のとき

a+c=10^n,  \;\;\;\;  b+d = 1

 

  s, u, v, t を下のように  a, b, c, d最大公約数とします。

 s=\gcd( a, b ),\; t=\gcd(c, d) , \; u =\gcd(a, d) ,\; v=\gcd (c, b)

このとき、下三つの関係式が成り立ちます。

関係式
 a = su,\:\;b=sv,\:\: c=tv,\:\; d=-tu
 (s^2+t^2)(u^2+v^2)=10^{2n}+1
 \cfrac{s^2}{s^2+t^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{b-1}{10^{2n}}+\cfrac{c}{10^{3n}}+\cfrac{d-1}{10^{4n}} +\;...


三つ目の式より、接続数が分数の循環小数に出てきた理由を説明できました!

具体例を見てみましょう。

 n=2 のときの接続数は

12^2+33^2=1233

88^2+33^2=1233 の二つであるので

a^2+b^2=100a+b

c^2+b^2=100c+b より

a=12,b=33,c=88 です。

また、b+d = 1 より d=-32 です。

  s=\gcd( 12, 33 )=3,\; t=\gcd(88, -32)=8 , \; u =\gcd(12, -32)=4 ,\; v=\gcd (88, 33) =11

となります。

このとき先ほどの三つの関係式が成り立っています。

 a = su,\:\;b=sv,\:\: c=tv,\:\; d=-tu

 (3^2+8^2)(4^2+11^2)=10001

\cfrac{9}{73}=0.12328767... すなわち

 \cfrac{3^2}{3^2+8^2}=  \cfrac{12}{10^2}+\cfrac{32}{10^{4}}+\cfrac{88}{10^{6}}+\cfrac{-33}{10^{8}} +\;... 

 

詳しくはこの目次からご覧ください。

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このように循環小数編では  a, b, c, d s, u, v, t の関係性を見ていきました。

もっとその関係を深掘りしていくと、複素数を用いることで接続数を簡単に求められることがわかるので最初にそれを解説します!

 

そしてその関係は一般の円でも成り立ち、さらに複素数平面に応用すると円の格子点はたまたま整数になった点の集まりではなくものすごく精巧に配置されていることが判明します!

これは後編の【代数・幾何編】の入り口となる話でもあります。

 

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【循環小数3】分かったことを導出していく回

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概要:【はじめに】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics

前回:【循環小数2】IQテスト風クイズで接続数の隠れた法則を見つけよう!

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