目次:全体の目次【数遊び編】【代数・幾何編】 - dedemoni's mathematics
概要:【はじめに】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics
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前回の振り返りと今回の目標
前回を振り返ります!
という数字は
のように二乗の和が合体する接続数であり、
という分数の循環小数に出てくるという特殊な性質もがあります!
この理由を探るため、
の自然数解
を求めて他の接続数を得ました!
の時は の変形を利用することで下の4つの整数解を得ることが出来ました。
前半二つは自然数解なので接続数になりますが、後半二つは負の解で接続しないので、非接続数と呼びました。
また、接続数と非接続数をまとめて(非)接続数と呼びます。
最後に が
接続数 だけではなく
非接続数 にもなぜか似ていることを紹介しました。
この理由を説明するのがひとまずの目標です。
そしてその最中、接続数は美しい構造していることが分かってきます!
この構造はまだ未発見のようですが、分かりやすく並べることでもしかしたら小学生でも気が付けるほど単純明快で簡単な構造なので、次回にクイズとして出してみました!
その時はぜひ考えてみてください!
この構造によって循環小数に接続数 が出てきた理由も説明できます!
(非)接続数と分数
循環節の長さ
この式を観察したらなにかわかるでしょうか。
この式から次の3つがわかります。
(Ⅰ) 循環節(循環する部分)の長さは で の 倍
(Ⅱ) 循環節の長さは
(Ⅲ)
調べたら (Ⅱ) (Ⅲ) は一般の小数の性質だとわかりました!
それぞれ説明します。
(Ⅰ) 循環節(循環する部分)の長さは で の 倍
の解 はどちらも 桁であることがわかったので、 は、 桁 でそれを二つ接続しているため長さは のになります。
(Ⅱ) 循環節の長さは
一般に素数 の逆数 の循環節の長さは の約数になるそうです!
(Ⅲ)
一般の小数は循環節を半分に分けて足すと位が全て9になります。ほんとでしょうか。
ためしに、 でやってみると
確かに です!
小数って不思議ですね。
ここからしばらく脱線します。
カプレカ数
この の循環節 は次のような性質があります。
という数字が順序はそのままクルクル回転しています!
このような数はダイヤル数と呼ばれています。循環節とダイヤル数には密接な関わりが知られています。詳しくは下の本をご参照ください。先ほどの (Ⅱ) (Ⅲ) などといった小数にまつわる様々な不思議も書いてあります!
『素数はめぐる 循環小数で語る数論の世界』(西来路 文朗,清水 健一):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部
はもう一つ面白い性質があります。
すごい!このように二乗した数を真ん中で二つに分けて足すと元に戻るという性質があります!
このような数をカプレカ数と言います。
の循環節の はカプレカ数にはなりません。しかし、先頭の を後ろに回した循環節 はカプレカ数になります!
成り立ってますね!
そしてこの という数字は を丁度 倍した数になります。この数もダイヤル数なので が先頭にくるように回転するのが 倍した時なのですね。
つまり、 ということですが、こんな感じで他にも の循環節はカプレカ数になります!
このように素数 は(その逆数 の循環節と互いに素ならば)
の循環節がカプレカ数になるような がただ一つ存在します!!!
すごい!!!
が一万以下の素数のときは、逆数の循環節と互いに素でないのは と の二数しかありませんでした。
それ以上の計算は逆数が一万桁を超えてくるので計算を断念しましたが大きな素数ほど互いに素になりやすいので、この二数以外のほとんどの素数は逆数の循環節と互いに素になると考えられます。
つまり、ほぼ全ての素数の逆数の循環節は整数倍するとカプレカ数になります!
素数の逆数にこんな性質があるなんて驚きですね。
これは既に誰かしら見つけてそうなものですがなぜか調べても出てこなかったです。
カプレカ数はこの事実があることで格段に面白く感じるのでこれが知られていないのは残念です。
カプレカ数については数遊び編4でまた取り上げます。
結局、数式を観察して得た (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅲ) からは小数の面白さはわかりましたが、分数の循環節になぜ接続数が現れたのかの突破口は見つかりませんでした。
そこで今度は逆に、他の接続数を循環節にもつ分数はどんな分数なのか考えてみましょう!
対となる分数
の整数解は上図の対称性より必ず4セットで現れます。 のときは のどちらでもいいですが、 とすると
\begin{cases} a=588\\ b=2353 \\ c= 9412 \\ d =-2352 \end{cases}
であることがわかります。
以降、この の文字は多用していきます。
、 であることと、 は の値で は の値であることは覚えておいてください。
この を用いると、
\begin{cases} a^2+b^2 =5882353\\ c^2+b^2=94122353 \\ a^2+d^2 = 5877648 \\ c^2 +d^2 = 94117648 \end{cases}
となり、
より
の循環小数部分は と を接続した数になっています。
そして、仮に分数が接続数になる性質が一般に成り立つならば
と は対になっていて対称であるため、その二つを入れ替えても同じその性質をもつので
と を接続した が循環小数となる分数が必ずあるはずです。
その分数が問題解決の糸口になりそうです!
どんな分数がその循環小数になるでしょうか。
から が出てきたのでもう片方の を分母に持つ がその循環小数を持つと仮定します。
より を求めると、
となります。
ほとんど整数になりました!
で確定でしょう!
つまり、 の循環節は と を接続した数になるわけです。
とはいえこの という数字、いったい何なのでしょうか......
5536609という数字の正体
そもそもなぜ、 の分子は だったのでしょうか。
実は という数字はこの記事内で 以外に一箇所だけ使われていました。
この数式を覚えているでしょうか。
この数式は4桁の解を求める途中に用いた式でした。
赤い数字が になっています!
仮に の分子が の のことだったとしたら
の分子は より か のどちらかでしょう!
実際に計算すると、
ビンゴです!
予想は正しかったですね。
同様に や が分子にくる場合も計算してみましょう!
より
と を接続した値になっています。
より
と を接続しています。
どうやらどの循環小数も接続数と非接続数を接続しているようですね。
試しに のときもやってみましょう!
でしたので、分数を計算すると
となります。 の自明でない整数解は
になるので、やはり循環小数は接続数と非接続数からなっていることがわかります。ここでは としています。
また、分母が等しい分数同士は接続数と非接続数が同じで順番だけ入れ替わっていることも読み取れます。
今までに得られた結果をまとめます!
対になっている
接続数 と非接続数
(接続数 と非接続数 )
について、それらを求める際に出てくる途中式を
としたとき をうまく選ぶと
の循環小数部分が
と
( と )
を接続した数になる 。
ただし接続する順序は問わない。
少しずつですが分数と(非)接続数の関係が見えてきましたね!
結果1を数式で表してみましょう!
のときは
と無限和で表せるため、
になります。
一般には、 の4対の整数解 について
が成り立ちます!この式が導出すべき式ですね!
分母が、 ずつ増えているのは、 と が 2n桁になるからです。
このように、(非)接続数を求める際に出てくる途中式、 の が実は重要な数だということがわかりました。
次回はこれら と の間にある隠れた関係を見ていきます!
この関係は接続数で最も重要な性質だと思っています!
そして、この関係を用いることで分数と接続数の関係式も導出することができます!
お楽しみに~