【数遊び編3】複素数10^n+iの因数と(非)接続数の一対一対応

はじめに

前回、前々回はこちらです!お先にご覧ください。

【数遊び編1】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics

【数遊び編2】接続数と分数のただならぬ関係 - dedemoni's mathematics

 

接続数を扱うのは今回がラストです!

 

前回は  a, b, c, d s, u, v, t の関係性を見ていきましたが、もっとその関係を深掘りしていくと、複素数を用いることで接続数を簡単に求められることがわかるので最初にそれを解説します!

 

そしてその関係は一般の円でも成り立ち、さらに複素数平面に応用すると円の格子点はたまたま整数になった点の集まりではなくものすごく精巧に配置されていることが判明します!

これは後編の【代数・幾何編】の入り口となる話でもあります。

 

最後はちょこっとですがまた接続数の話に戻ります。ここでは前回解説した分数との関係を応用してすごい接続数を求めます!

 

おまけも四つほどありますが特におまけ1を読むと、接続数最高!!接続数最高!!となるのでおすすめです。

 

わけあってスクロールバーがめちゃくちゃ長いですが、実際の本編は半分過ぎたくらいで終わりますのでご安心ください。

 

 

逆に s,t,u,v から a,b,c,d が得られるか

いままではまず、a,  b, c,  d が先にあってその後に s, t, u, v が定まっていました。次は逆に s, t, u, v から a,  b, c,  d を求められるか考えていきます!

 

a = su,\,b=sv,\, c=tv,\, d=-tu   だとわかったから

(s^2+t^2)(u^2+v^2)=10^{2n}+1  から出るんじゃないか?

と思うかもしれません。

しかし、これらの式は s, t, u, v  s=\gcd( a, b ),\,t=\gcd(c, d) , \, u =\gcd(a, d),\,v=\gcd (c, b) と定めたときに成り立つ式です。

 

例えば、初めて (3^2+8^2)(4^2+11^2)=10^{4}+1 という式を見たとしたら、これらは対称なのでどれが s でどれが u かわかりませんし、どの二つをかければ b になるのか判別できません。

二つの積を x^2+y^2=10^nx+y に代入していけばいずれ分かりますが、計算せずともわかりたいものです。

今の段階では、二数を選んでかけたとき正しく b になる確率は \cfrac{1}{4} ですがこれを 100% にしたいです。

ここで複素数が使えます!

 s^2+t^2 複素数を用いれば  s^2+t^2 =(s+ti)(s-ti) と変形できますよね。

このように  10^{2n}+1=(s^2+t^2)(u^2+v^2) (10^n+i)(10^n-i)=(s+ti)(s-ti)(u+vi)(u-vi) と変形できます!

 

このとき 10^n+i がどうなるか考えましょう。

10^n-i共役な複素数になることを考えると、 (s+ti)(s-ti) から一方、 (u+vi)(u-vi)から一方を選んでかけた積 10^n+i=(s \pm ti)(u \pm vi) になりそうです。

ここで、例えば  xy = 3 の整数解を求めると、  x=\pm 1, \pm 3 と   \pm が付いたことを考えると、 10^n+i もそれに似たものを付けなければなりません。この複素数の場合 1,i,-1,-i のいずれかが付きます。

そのため 10^n+i= i^m(s \pm ti)(u \pm vi) になります!m0,1,2,3 のいずれかだと思ってください。

ちなみにここでの  i^m は単数と呼びます。この単数の存在は x^2+y^2=10^nx+y に必ず四つのセットで解が出てくる理由になっています。詳しくは後編で!

 

 10^n+i= i^m(s \pm ti)(u \pm vi) になるとわかりました!

つまり

 10^n+i= i^m(s + ti)(u + vi)

 10^n+i= i^m(s - ti)(u + vi)

 10^n+i= i^m(s + ti)(u - vi)

 10^n+i= i^m(s - ti)(u - vi)

つのうちの一つ、つまり\cfrac{1}{4} です!この四つのうちどれかになるかがわかれば、 s, t, u, v を確定できそうです。

 

n=2 でどうなるのか見てみましょう!

10^{4}+1=(3^2+8^2)(4^2+11^2) だったので

10^{2}+i3+8i で割ってみましょう!

\cfrac{10^2+i}{3+8i}=\cfrac{(10^2+i)(3-8i)}{(3+8i)(3-8i)}=\cfrac{308 - 797i}{73} これはハズレみたいですね。

3-8i で割ると

\cfrac{10^2+i}{3-8i}=\cfrac{(10^2+i)(3+8i)}{(3+8i)(3-8i)}=\cfrac{219 +803i}{73}=4+11i

割り切れました! 10^2+i=(3-8i)(4+11i) だとわかりました!

n=3, 4 のときはそれぞれ

10^3+i=(10-i)(99+10i)

10^4+i=(1-4i)(588+2353i)

因数分解できます!

三つとも下の形になりますね!

10^{n}+i=(s-ti)(u+vi)

 

 

実は全てこの形で表せられます!それを示します。

 a+c= 10^n, \; b+d = 1

規則2 a = su,\,b=sv,\, c=tv,\, d=-tu より

 su+tv= 10^n, \; tv-tu = 1    

後者の両辺に i をかけて前者に加えます

 su+tv+(tv-tu)i =10^n+i

因数分解します

(s-ti)(u+vi)=10^n+i

このようにして導出できました!

ちなみにここで共役の複素数をとると、

(s+ti)(u-vi)=10^n-i  

になり、これを両辺にかけると

(s^2+t^2)(u^2+v^2)=10^{2n}+1

となって規則3も証明できます。

 

これで、s, t, u, v が一通りに定まるので s, t, u, v から a,  b, c,  d を求めることが出来ます!

すなわち、10^n+i を二つの複素数の積にすることができたらすぐに接続数がわかります。これが新しい接続数の求め方です!

また、複素数も整数のように素因数分解できます。

したがって、10^n+i を二つの複素数の積で表すパターンを全て求めることができるのでn桁の解は全て求めることができます!

複素数素因数分解なんて聞いたことがないと思いますが、次の例で実際に求めながら説明していきます!

 

5桁の解を全て求めてみよう!

x^2+y^2=10^5x+y \; ...(8) の整数解を求めます。

10^{10}+1=101 \times 3541 \times 27961  = (10^2 +1^2)(54^2+25^2)(144^2+85^2) と素因数を二乗の和で表せます。

先ほどのように割り切れるか調べることで、

10^5+i = (10+i)(54+25i)(144-85i)

であることがわかります。

これが複素数素因数分解です!そんなに難しくないですね。

 

10^5+i を二つの積で表す方法は次の三通りが考えられます!

(i)  (54+25i)(144-85i) \;\;  | \;\;  (10+i)

(ii)  (10+i)(144-85i) \;\;  | \;\;  (54+25i)

(iii)  (144-85i) \;\;  | \;\;  (10+i)(54+25i)

それぞれ計算すると

(i)  (9901 - 990 i )   \;\;  | \;\;  (10+i)

(ii)  (1525 - 706 i) \;\;  | \;\;  (54+25i)

(iii)  (144-85i) \;\;  | \;\;  (515 + 304 i)  

になります!ちゃんと符号がマイナス、プラスの順になってますよね!

 (s-ti) \;\;  | \;\;  (u + v i)   のとき、 (8) の解は規則2より

(x,y) =(su, sv) , (tv, sv),  (su, -tu), (tv, -tu) になります。

 

(i), (ii), (iii) の場合もこれに代入すると

(i) (x,y) =(99010, 9901) , (990, 9901),  (99010, -9900), (990, -9900)

(ii) (x,y) =(82350, 38125), (17650, 38125), (82350, -38124), (17650, -38124)

(iii) (x,y) =(74160, 43776) , (25840, 43776),  (74160, -43775), (25840, -43775)

 

とても簡単に求まりました! ですが、(0, 0), (0,1) などの自明の解があるのでそれも求めます。

10^5+i = (1-0i)(10^5+i ) というように見ることができるので。

(x,y) =(10^5, 1) , (0, 1),  (10^5, 0), (0, 0) の四つの自明の解がでてきます!

これで  (8) の解はすべて出そろいました!

 

82350^2+38125^2=82350+38125 のような新たな接続数6つも得ることが出来ました。

 

一般に 10^{2n}+1 の素因数が m 個のとき、10^n+i を二つの積で表す方法は 2^{m-1} であり、 全て2ペアで接続数がででくるので自明な解を除いた接続数の数は \boldsymbol{2^m-2} になります。

 

この方法が桁数を指定したときの接続数の求め方として最も優秀だと思っています!

桁数 n を指定せずとも求められる簡単な方法もあるので、それは今回の最後に紹介します。

 

こうして5桁の解を全て得られたわけですが、これらの解 (x,y) をxy平面にプロットすると下のようになります。

(0,0)(0,1)(10^5,0)(10^5,1) は近すぎて被っています。

この点同士を直線で結ぶとこのように平行な線が沢山見えてきます!

この格子点(整数解のこと)の平行関係は、接続数のみならず一般の円で成り立つので次からは今回の話を一般化してからこの性質を説明していきます!

 

複素数平面

より一般の円の格子点を求めよう!

いままでは  x^2+y^2 =10^nx+y を考えていましたが、これをより一般の形で書くと、 x^2+y^2 =px+qyp, q は整数)になります。これは必ず原点を解に持つので、原点を通る整数係数の円全体を表します。

接続数同様に整数 s,t,u,v を用いて (s+ti)(u+vi)=p+qi因数分解できたなら

a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu と置くと、(a,b), (c,b),(a,d),(c,d) x^2+y^2 =px+qy の整数解になります。

※いままでの式の t-t と置き直しため、符号が少し異なる点にご注意ください。いままで  s,t,u,v自然数でしたがこの一般化では整数となります。

 

そして逆に、 a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu を満たす整数 s,t,u,v を用いて (s+ti)(u+vi)=p+qi因数分解することができます。

 

そのため、接続数のみならず原点を通る円なら全ての整数解を複素数因数分解で簡単に求めることが出来ます!

 

実際に一つの方程式  x^2+y^2 =39x+42y を解いてみましょう!

 39+42i = 3(2+i)(8+3i)素因数分解できます。 3 はそのままで素因数になります。

このとき二つの因数に分ける方法は

(i)   (8+3i) \;\;  | \;\;  3(2+i)   つまり     (8+3i)\;\;  | \;\;  (6+3i)  

(ii)  1 \;\;  | \;\;  3(2+i)(8+3i) つまり  (1+0i) \;\;  | \;\; (39+42i)

の二パターンになります。

   (3s+3ti)\;\;  | \;\; (u+vi)     (s+ti)\;\;  | \;\; (3u+3vi)  

からはどちらも

a = 3su,\,b=3sv,\, c=-3tv,\, d=3tu

と、同じ解が得られるように

   3(8+3i)\;\;  | \;\; (2+i)   の分け方からは (i)

 3 \;\;  | \;\;  (2+i)(8+3i) の分け方からは (ii)と同じ解が得られます。

要するに定数倍の違いはパターン分けに関与しないというわけです。

よって整数解は以下の八つだけだとわかります。

(i) (x,y) =  (48, 24), (-9, 24), (48, 18) , (-9,18)

(ii) (x,y) =(39, 42) , (0,42),  (39, 0), (0, 0)

 

このように複素数  39+42i因数分解から整数解が求まりました!複素数といえば複素数平面です。

実は複素数平面で考えると円の格子点は図形的にも複素数と深い関係があることがわかります。次からはこれを説明していきます!

 

円の格子点と複素数

  39+42i の因数である 8+3i複素数平面でどこに位置するのか考えることから始めます。

一般の話も同時にしたいので 8+3i = s+ti, 6+3i= u+vi, 39+42i= p+qi と置いて説明しますが、イメージしづらかったら具体的な数字で考えてみて下さい。

図もなるべく具体例に対応させて描いています。  

 

複素数平面と座標平面を、座標平面上の点 (x,y)複素数平面上の x+yi を同一視すると、 \alpha =s+ti と置いたら \alpha複素数平面上で下図の青矢印に位置します。

  u\alpha =su+tui=a+di となるので複素数平面で  \alphau 倍した点は格子点 a+di となります。

\beta =u+vi とおいたら同様に、

 \betas 倍した点は格子点 a+bi に、

 i\alpha=-t+siv 倍した点は格子点 c+bi に、

 i\beta=-v+uit 倍した点は格子点 c+di になります。

複素数i をかけると90度回転するので、 赤矢印と黒矢印はなす角が直角になります。これは(a,b)(c,d) , (c,b)(a,d) を結んだ線分は中心を通るため直径になることからもわかります。

 

このように   p+qi の因数は、整数倍したら格子点になります。

逆に格子点 A(a+di)u= \gcd(a,d) とすると \cfrac{a+di}u =s+ti=\alpha p+qi の因数になるので  p+qi の因数と格子点は一対一対応していることがわかります。したがって格子点を対応する因数を用いて A[\alpha] などと [ \; ] 内に因数を書いて表記することにします。

これを見ると  \alpha \betai を掛けたら斜めの位置になり、x座標が同じ格子点の因数をかけると \pm(p+qi) になるように対の解は配置されるようですね。

 

因数と格子点は一対一対応しますが、  2+i 6+3i のように定数倍の違いだけの因数は同じ格子点に対応します。これは先ほどの定数倍の違いはパターン分けに関与しないのと同じ話です。

複素数が定数倍の違いだけの場合  2+i ≡ 6+3i  と   ≡ で結び、二数は合同であると呼ぶことにします。

 

四つの因数  1,i,p+qi, q-pi は下図の赤矢印の方向に位置するので、ちょうど自明の四つの解  O_1,O_2,O_3,O_4 に対応します。(赤矢印の長さはテキトー)

 q-pi は原点と接する方向の因数になるので原点と対応させます。

 

このように対応させると  p+qi の因数と  x^2+y^2 =px+qy  の格子点がうまく一対一対応していることがわかります。

この一対一対応を用いると、  p+qi の因数に対応する格子点さえわかれば二つの因数の積に対応する格子点の位置も簡単に割り出せるようになります!

 

二つの因数の積に対応する格子点の位置

下を見てください。

定理1  二つの因数の積の位置
  A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,],   X [\, \lambda \mu \, ] に関して AB / \!/ XO_2 が成り立つ 

(証明は少し後で!)

この定理1によって因数  \lambda \mu に対応する AB の位置がわかればその積  \lambda \mu に対応する格子点 X の位置を割り出すことが出来ます。

今までの場合だと \alpha \beta = p+qi なので  X =O_4 で下が成り立ちます。

この場合だと因数が少ないのであまり恩恵を感じないですね。

 

次は  x^2+y^2 =53x+59y で考えてみましょう。

 131+83i=(1-2i)(1+4i)(1+i)(6-i)素因数分解できます。今後は素因数を左から順に \alpha, \beta, \gamma, \delta と置いて説明します。

このとき二つの因数に分ける方法は

(  1 \;\;  | \;\;  \alpha \beta \gamma \delta )       ( \alpha \;\;  | \;\;  \beta \gamma \delta )        (\beta \;\;  | \;\;  \alpha \gamma \delta )        (\gamma \;\;  | \;\;  \alpha \beta \delta )        (\delta \;\;  | \;\;  \alpha \beta \gamma )        (\alpha \beta \;\;  | \;\;  \gamma\delta )         (\beta\gamma \;\;  | \;\;  \delta\alpha )         (\alpha\gamma \;\;  | \;\;  \delta\beta ) 

の八通りあるので整数解はその四倍の32個になります。

定理1より   \alpha \beta,  \gamma\delta, \beta\gamma, \delta\alpha ,\alpha\gamma ,  \delta\beta に対応する格子点は   \alpha,\beta,\gamma,\delta に対応する格子点がわかれば  O_2 [\, 1 \, ] を通る平行線との交点からその位置がわかります。

下図は A[\alpha] A などを省略して因数だけで格子点を表しているので注意してください。

このように p+qi が多くの素因数を持つ場合でも、素因数に対応する格子点の位置さえわかれば残りの格子点の位置も定理1を用いて平行線を引けば全て求めることが出来ます。

x座標、y座標が同じである対の解も描写すると下のようになります。これで整数解は全部です。


少し前に説明した通り、x座標が同じ格子点の因数をかけると全て \alpha \beta \gamma \delta = p+qi になり、ある因数に i を掛けたら斜めの位置に行くのが確かめられます。

 

それでは下の定理1がなぜ成り立つのかを説明します!

定理1  二つの因数の積の位置
  A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,],   X[\, \lambda \mu \, ] に関して AB / \!/ XO_2 が成り立つ 

 \chi= \lambda \mu と置きます。下図はそれぞれの因数に対応する格子点を複素数平面に描いたものです。

 \lambda = \cfrac{\chi }{\mu} より、赤角青角 になります。これは複素数平面の性質です。\lambda, \mu,  \chi の位置は A, B, X の位置とは異なりますが、方向は同じでしたね。

円周角の定理より、赤角黄角青角緑角

円に内接する四角形なので、緑角紫角

したがって得られた4つの角の等式より 黄角紫角なので、AB / \!/ CO_2 です!

他の位置にあっても同様に証明できます。

 

格子点同士の平行関係

 x^2+y^2 =53x+59y の話にまた戻ります。

この図をもう少し観察してみます。どうやら他の格子点を結んだ線分も青色、赤紫、桃色、赤色、橙色、水色線分と平行な関係になりそうですね。これらと平行になる線分を全て描いたら下のようになります!

すごい量です!

いったいどういった規則性で平行になっているのでしょうか。それぞれの色の線分がどの点とどの点を結んだものなのか列挙してみて考えてみましょう!

青色

\alpha\gamma\deltai\gamma,    \alpha\gammai\gamma\delta,     \delta\alpha,      1\alpha\delta,      i\alpha\deltai,     i\alphai\delta,    \gamma\deltai\alpha\gamma,        \gammai\alpha\gamma\delta

赤紫

1\gamma\delta,    \delta\gamma,    i\gammai\delta,    i\gamma\deltai

桃色

i\gamma\delta\beta\gamma,    i\gamma\beta\gamma\delta,    i\beta\deltai,    i\betai\delta,    \delta\beta,    1\beta\delta,    i\beta\gamma\delta\gamma,    i\beta\gamma\gamma\delta 

赤色

i\alpha\betai,    \alpha\beta,    \beta\gammai\alpha\gamma,    i\gamma\alpha\beta\gamma,    i\alpha\beta\gamma\gamma,    \alpha\gammai\beta\gamma,    i\betai\alpha,    1\alpha\beta

橙色 

i\gammai\beta,    \beta \gamma1,    ii\beta \gamma,    \beta\gamma

水色

\alpha \gamma1,    i\gammai\alpha,    \alpha\gamma,    ii\alpha \gamma 

 

何か規則性っぽいものが見えてくると思います。

4本の平行線の赤紫、橙色、水色線分はそれぞれ \gamma\delta\beta\gamma\alpha\gamma が一つずつ出てきます。

8本の平行線である青色、桃色、赤色線分もそれぞれ \alpha\delta\beta\delta\alpha\beta が一つずつ出てくるパターンで4本と、そこに \gamma 二つと i が加わったものが4本あります。これで合計8本です。

i二つの \gamma というのは何なのでしょうか。

忘れていると思いますが、 \gamma = 1+i でしたね。i と二つの \gamma をかけてみます。

i\gamma^2=i(1+i)^2=-2 

ちょうど定数になりました!

複素数定数倍の違いだけの場合のことを合同と言いました。したがって、それぞれ下が成り立ちます!

青色 二数の積が \alpha \delta と合同

赤紫 二数の積が \gamma \delta と合同

桃色 二数の積が \beta \delta と合同

赤色 二数の積が \alpha \beta と合同

橙色 二数の積が \beta \gamma と合同

水色 二数の積が \alpha \gamma と合同

なるほど!平行になるなら対応する二つの因数の積がどれも合同になりそうですね!

例えば水色線分の場合は下が成り立っています。

 (i)(i \alpha \gamma) ≡ (\alpha)(\gamma)≡ (i\gamma)(i\alpha)≡(\alpha \gamma)(1)  

このように、下の定理2が成り立ちます。

定理2  因数の積が等しい ⇔ 平行関係
 A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,], C [\, \rho \,],  D [\, \omega \,] に関して
\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \rho \omega \;\;\;⇔\;\;\; AB / \!/ CD }

軽く説明します。

定理1\chi  p+qi の因数でなくても成り立ちます。このときは円上の点  X [\, \chi \, ] を原点と複素数平面上の点 \chi を結んだ直線と  x^2+y^2 =px+qy の原点でない方の交点とします。

したがって、 A [\, \lambda \,],  B [\, \mu \,], C [\,\rho \,],  D [\, \omega \,] に関して \lambda \mu \equiv \rho \omega が成り立つとき \lambda \mu  ≡  \rho \omega ≡ \chi と置いて、 \chi に対応する円上の点を X と置けば定理1より、 AB / \!/ XO_2 かつ  CD / \!/ XO_2 が成り立つため、 AB / \!/ CD が成り立ちます!

 

この定理2によって平行なら因数が等しいだけではなく、逆に因数が合同なら平行になります。これにより、上で描いたもの以外の平行関係も沢山求めることが出来ます。

つまり、青色、赤紫、桃色、赤色、橙色、水色線分の平行関係はごく一部に過ぎないことがわかります!

例えば

(i)(i \alpha) ≡ (1)(\alpha)≡(\gamma)(\alpha \gamma)≡ (i\gamma)(i\alpha \gamma)   

より、積が \alpha でもこの4本は平行になるし
 (\alpha\beta \gamma)(\alpha\beta \delta)≡(i\alpha\beta \gamma)(i\alpha\beta \delta)≡(\alpha\beta)(\alpha\beta \gamma \delta) ≡(i\alpha\beta)(i\alpha\beta \gamma \delta)  より、積が \alpha^2\beta^2 \gamma \delta でもこの4本は平行になります。 

他にも積が \alpha^2\beta, \alpha \beta \gamma, \alpha^2 \beta \gamma, \alpha \beta \gamma \delta, \alpha^2 \beta \gamma \delta, \alpha^2 \beta^2 \gamma \delta  などなど数え切れないパターンがあります。それに i\alphai\alpha^2\beta^2 \gamma \delta のように i を掛けたものもまた別の傾きの平行線になることも考えるとこの円の格子点同士にはとてつもない量の平行関係があることがわかります!

 

全ての平行関係を描いてみるとこうなります!

(う、うつくしい!!!)

なんだかずっと見てられますね

 

このように  x^2+y^2 =px+qy の格子点は一見たまたま整数になる点の集まりのように見えますが、実は想像できないほど精巧で規則正しく配置されていることがわかりました!

 

定理2をもう一度もう少し考えてみます。
複素数の因数は定数倍すると円上の点になるので、 \lambda, \mu, \rho,\omega をそれぞれ定数倍した円上の点を順に \alpha, \beta, \gamma,\delta とします。それぞれの複素数を表す点が  A, B, C, D になりますね。
定数倍したものなので
\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \alpha \beta}, \;\;\;\boldsymbol{\rho \omega \equiv \gamma \delta} です。

つまり、\boldsymbol{\lambda \mu \equiv \rho \omega} のとき \boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta} が成り立ちます。
したがって次の定理2’がいえます。

定理2’ 複素数の積が等しい ⇔ 平行関係
複素数平面の原点を通る円上に4点 A (\alpha),  B (\beta), C (\gamma), D (\delta) を取ったとき

\boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta \;\;\;⇔\;\;\; AB / \!/ CD }

※円上の点としたように、格子点でなくとも成り立ちます。

五桁の接続数を複素数平面にプロットしたことを思い出してください。
沢山の直線が平行になっていました。

定理2’によって、平行な関係となる四つの(非)接続数を表す複素数\alpha, \beta, \gamma,\delta としたとき、
\boldsymbol{\alpha \beta \equiv \gamma\delta} が成り立つことがわかります!
これが数遊び編1の冒頭で紹介していたことですね。

【数遊び編1】588^2+2353^2=5882353 と 分数 1/17 = 0.5882352... - dedemoni's mathematics

 

すさまじい接続数を求めてみよう!

分数と接続数の関係がわかったのでそれも利用して接続数が求められるか考えてみましょう!

ある素数  p10^{2n}+1 の約数だった場合

 p =s^2+t^2 と二乗の和にできたら、 10^{2n}+1=(s^2+t^2)(\;........) となるため、 \cfrac{s^2}{s^2+t^2} の小数部分を計算すれば結果1よりその前半部分か後半部分は接続数-1 になっています。

したがって、10^{2n}+1素因数分解なんかせずとも、素数  p10^{2n}+1 の約数となることがわかっているならすぐに接続数を出すことが出来ます。

次のルールを見つけました。

ルール
整数m を用いて 40m+1740m+21, 40m+29, 40m+33 のいずれかで書ける素数  p10^{2n}+1 型の数の約数である。また  p =s^2+t^2 となる  s,t が一通りだけ存在する
※証明はカット

なんだこの都合がよすぎるルールは!!!

つまり上の m に色んな値を入れてみて、それが素数だったらすぐに接続数がわかります!

試しに、 40m+21m=1 を代入すると 61 ですが、これは素数です。 61 = 5^2+6^2 と二乗の和になるので分数を計算します。

 \cfrac{5^2}{5^2+6^2} = 0.409836065573770491803278688524590163934426229508196721311475... (以下循環) 

循環するまで長いですね。前半か後半のどちらが接続数-1 なのかは1桁目だけ計算して合うか調べるとわかります。今回は前半部分が接続数-1 です。したがって次の数式が得られます。

409836065573770^2 + 491803278688525^2=409836065573770491803278688525

簡単に15桁の解を簡単に求めることが出来ました!

 

m=1 でこんな長い接続数がでるのは凄いですね!

次は 40m+17 に  m=100 あたりの数でも代入してみますか! 4017 3 で割り切れるのでだめですが、m=101 を代入した 4057素数です。

 4057=24^2+59^2 なので

 \cfrac{24^2}{24^2+59^2}循環小数部分を計算すると

下のようになります。

 

 

 

 

 

 

 

0.141976830170076411141237367512940596499876756223810697559773231451811683509982745871333497658368252403253635691397584421986689672171555336455508996795661819078136554104017747103771259551392654670939117574562484594527976337194971653931476460438747843233916687207296031550406704461424698052748336209021444417056938624599457727384767069263002218387971407443924081833867389696820310574315997042149371456741434557554843480404239585900912003943800838057678087256593542026127680552132117328074932215923095883657875277298496425930490510229233423712102538821789499630268671432092679319694355435050529948237614000492975104757209760907074192753265960069016514666009366526990386985457234409662312053241311313778654177964012817352723687453783583929011584914961794429381316243529701750061621888094651220113384274094158245008627064333251170815873798373182154301207789006655163914222331772245501602169090460931722947991126448114370224303672664530441212718757702736011831402514173034261769780626078383041656396351984224796647769287650973625831895489277791471530687700271136307616465368498890806014296278037959083066305151589844712842001478925314271629282721222578259797880207049543998028099580971160956371703228986936159723933941335962533892038452058171062361350751787034754744885383288143948730589105250184865664283953660340152822282474735025881192999753512447621395119546462903623367019965491742666995316736504806507271382795168843973379344343110672911017993591323638156273108208035494207542519102785309341878235149124969189055952674389943307862952920877495686467833374414592063100813408922849396105496672418042888834113877249198915454769534138526004436775942814887848163667734779393640621148631994084298742913482869115109686960808479171801824007887601676115356174513187084052255361104264234656149864431846191767315750554596992851860981020458466847424205077643578999260537342864185358639388710870101059896475228000985950209514419521814148385506531920138033029332018733053980773970914468819324624106482622627557308355928025634705447374907567167858023169829923588858762632487059403500123243776189302440226768548188316490017254128666502341631747596746364308602415578013310327828444663544491003204338180921863445895982252896228740448607345329060882425437515405472023662805028346068523539561252156766083312792703968449593295538575301947251663790978555582943061375400542272615232930736997781612028592556075918166132610303179689425684002957850628543258565442445156519595760414099087996056199161942321912743406457973872319447867882671925067784076904116342124722701503574069509489770766576287897461178210500369731328567907320680305644564949470051762385999507024895242790239092925807246734039930983485333990633473009613014542765590337687946758688686221345822035987182647276312546216416070988415085038205570618683756470298249938378111905348779886615725905841754991372935666748829184126201626817845698792210993344836085777668227754498397830909539068277052008873551885629775696327335469558787281242297263988168597485826965738230219373921616958343603648015775203352230712349026374168104510722208528469312299728863692383534631501109193985703721962040916933694848410155287157998521074685728370717278777421740202119792950456001971900419028839043628296771013063840276066058664037466107961547941828937638649248212965245255114616711856051269410894749815134335716046339659847177717525264974118807000246487552378604880453537096376632980034508257333004683263495193492728617204831156026620655656889327088982006408676361843726891791964505792457480897214690658121764850875030810944047325610056692137047079122504313532166625585407936899186591077150603894503327581957111165886122750801084545230465861473995563224057185112151836332265220606359378851368005915701257086517130884890313039191520828198175992112398323884643825486812915947744638895735765343850135568153808232684249445403007148139018979541533152575794922356421000739462657135814641360611289129898940103524771999014049790485580478185851614493468079861966970667981266946019226029085531180675375893517377372442691644071974365294552625092432832...(以下循環)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわあああああああああああああああああああああああああああ

 

この赤部分の二乗と青部分+1の二乗を計算するとちゃんと二数を接続した数になります。

 

 

 

 

 

858023169829923588858762632487059403500123243776189302440226768548188316490017254128666502341631747596746364308602415578013310327828444663544491003204338180921863445895982252896228740448607345329060882425437515405472023662805028346068523539561252156766083312792703968449593295538575301947251663790978555582943061375400542272615232930736997781612028592556075918166132610303179689425684002957850628543258565442445156519595760414099087996056199161942321912743406457973872319447867882671925067784076904116342124722701503574069509489770766576287897461178210500369731328567907320680305644564949470051762385999507024895242790239092925807246734039930983485333990633473009613014542765590337687946758688686221345822035987182647276312546216416070988415085038205570618683756470298249938378111905348779886615725905841754991372935666748829184126201626817845698792210993344836085777668227754498397830909539068277052008873551885629775696327335469558787281242297263988168597485826965738230219373921616958343603648015775203352230712^2+349026374168104510722208528469312299728863692383534631501109193985703721962040916933694848410155287157998521074685728370717278777421740202119792950456001971900419028839043628296771013063840276066058664037466107961547941828937638649248212965245255114616711856051269410894749815134335716046339659847177717525264974118807000246487552378604880453537096376632980034508257333004683263495193492728617204831156026620655656889327088982006408676361843726891791964505792457480897214690658121764850875030810944047325610056692137047079122504313532166625585407936899186591077150603894503327581957111165886122750801084545230465861473995563224057185112151836332265220606359378851368005915701257086517130884890313039191520828198175992112398323884643825486812915947744638895735765343850135568153808232684249445403007148139018979541533152575794922356421000739462657135814641360611289129898940103524771999014049790485580478185851614493468079861966970667981266946019226029085531180675375893517377372442691644071974365294552625092432833^2=858023169829923588858762632487059403500123243776189302440226768548188316490017254128666502341631747596746364308602415578013310327828444663544491003204338180921863445895982252896228740448607345329060882425437515405472023662805028346068523539561252156766083312792703968449593295538575301947251663790978555582943061375400542272615232930736997781612028592556075918166132610303179689425684002957850628543258565442445156519595760414099087996056199161942321912743406457973872319447867882671925067784076904116342124722701503574069509489770766576287897461178210500369731328567907320680305644564949470051762385999507024895242790239092925807246734039930983485333990633473009613014542765590337687946758688686221345822035987182647276312546216416070988415085038205570618683756470298249938378111905348779886615725905841754991372935666748829184126201626817845698792210993344836085777668227754498397830909539068277052008873551885629775696327335469558787281242297263988168597485826965738230219373921616958343603648015775203352230712349026374168104510722208528469312299728863692383534631501109193985703721962040916933694848410155287157998521074685728370717278777421740202119792950456001971900419028839043628296771013063840276066058664037466107961547941828937638649248212965245255114616711856051269410894749815134335716046339659847177717525264974118807000246487552378604880453537096376632980034508257333004683263495193492728617204831156026620655656889327088982006408676361843726891791964505792457480897214690658121764850875030810944047325610056692137047079122504313532166625585407936899186591077150603894503327581957111165886122750801084545230465861473995563224057185112151836332265220606359378851368005915701257086517130884890313039191520828198175992112398323884643825486812915947744638895735765343850135568153808232684249445403007148139018979541533152575794922356421000739462657135814641360611289129898940103524771999014049790485580478185851614493468079861966970667981266946019226029085531180675375893517377372442691644071974365294552625092432833

 

もう逆に何がすごいのかわかんないですね

 

 

これにて完!!!!!

 

次回は【数遊び編】のラストとなる「減法接続数とカプレカ数」です。お楽しみに!

 

おまけ

おまけ1:接続数の等式一覧

 a,b,c,d s,t,u,v の間にあるきれいな関係式を全てまとめてみました!ここで初登場となる式もたくさんあるので見てほしいです。接続数の対称性の美しさを感じられると思います!
 
 
 a^2+b^2 =10^na+b 
 c^2+b^2 =10^nc+b 
 a^2+d^2 =10^na+d 
 c^2+d^2 =10^nc+d 
 

 a+c= 10^n

 b+d = 1

 

 (a−\cfrac{10^n}2)^2+(b−\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}+1}4

 (c−\cfrac{10^n}2)^2+(b−\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}+1}4

 (a−\cfrac{10^n}2)^2+(d−\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}+1}4

 (c−\cfrac{10^n}2)^2+(d−\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}+1}4

 

 a^2+b^2+c^2+d^2 =10^{2n}+1 

 (a \pm c)^2+(b\pm d)^2 =10^{2n}+1  (複合同順)

 

 (a^2+b^2)(a^2+d^2) =a^2(10^{2n}+1)  

 (a^2+b^2)(c^2+b^2) =b^2(10^{2n}+1) 

 (c^2+b^2)(c^2+d^2) =c^2(10^{2n}+1) 

 (a^2+d^2)(c^2+d^2) =d^2(10^{2n}+1) 
 
 ac=-bd 
 
 (a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+d^2)(d^2+a^2)  =-abcd(a^2+b^2+c^2+d^2)^2  
 

(s-ti)(u+vi)=10^n+i

 (s^2+t^2)(u^2+v^2)=10^{2n}+1 

 

 su+tv =10^n 
 sv - tu = 1 
 

a = su,\,b=sv,\, c=tv,\, d=-tu 

 

 s=\gcd( a, b ),\; t=\gcd(c, d) , \; u =\gcd(a, d) ,\; v=\gcd (c, b)

 

 a^2+b^2+c^2+d^2 =(s^2+t^2)(u^2+v^2)  

 

 (s \,| \,a, b) ,  (t \,| \,c, d) ,  (u \,| \,a, d) ,  (v \,| \,c, b)  

すなわち

  \cfrac{s^2}{s^2+t^2} =  \cfrac{a^2+b^2-1}{10^{2n}}+\cfrac{c^2+d^2-1}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{t^2}{s^2+t^2} =  \cfrac{c^2+d^2-1}{10^{2n}}+\cfrac{a^2+b^2-1}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{u^2}{u^2+v^2} =  \cfrac{a^2+d^2-1}{10^{2n}}+\cfrac{c^2+b^2-1}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{v^2}{u^2+v^2} =  \cfrac{c^2+b^2-1}{10^{2n}}+\cfrac{a^2+d^2-1}{10^{4n}} +\;...

 

 \cfrac{s^2}{s^2+t^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{b-1}{10^{2n}}+\cfrac{c}{10^{3n}}+\cfrac{d-1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{t^2}{s^2+t^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{d-1}{10^{2n}}+\cfrac{a}{10^{3n}}+\cfrac{b-1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{u^2}{u^2+v^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{d-1}{10^{2n}}+\cfrac{c}{10^{3n}}+\cfrac{b-1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{v^2}{u^2+v^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{b-1}{10^{2n}}+\cfrac{a}{10^{3n}}+\cfrac{d-1}{10^{4n}}+ \;...

 

 \cfrac{s^2}{s^2+t^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{b}{10^{2n}}-\cfrac{a}{10^{3n}}-\cfrac{b}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{t^2}{s^2+t^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{d}{10^{2n}}-\cfrac{c}{10^{3n}}-\cfrac{d}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{u^2}{u^2+v^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{d}{10^{2n}}-\cfrac{a}{10^{3n}}-\cfrac{d}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{v^2}{u^2+v^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{b}{10^{2n}}-\cfrac{c}{10^{3n}}-\cfrac{b}{10^{4n}}+ \;...

 

おまけ2:減法接続数の等式一覧

ついでに次回の内容ですが減法接続数の等式も載せておきます。

減法接続数とは  134^2-67^2 =13467 のように二乗の差が二数の接続になる数のことです。接続数の等式と対称的でこれも美しいです。今回は説明を省きますが、気になったら次回をぜひご覧になってください!

 

 a^2-b^2 =10^na+b 
 c^2-b^2 =10^nc+b 
 a^2-d^2 =10^na+d 
 c^2-d^2 =10^nc+d 
 

 a+c= 10^n

 b+d = -1

 

 (a−\cfrac{10^n}2)^2-(b+\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}-1}4

 (c−\cfrac{10^n}2)^2-(b+\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}-1}4

 (a−\cfrac{10^n}2)^2-(d+\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}-1}4

 (c−\cfrac{10^n}2)^2-(d+\cfrac{1}2)^2=\cfrac{10^{2n}-1}4

 

 a^2-b^2+c^2-d^2 =10^{2n}-1 

 (a \pm c)^2-(b \pm d)^2 =10^{2n}-1  (複合同順)

 

 (a^2-b^2)(a^2-d^2) =a^2(10^{2n}-1)  

 (a^2-b^2)(c^2-b^2) =b^2(10^{2n}-1) 

 (c^2-b^2)(c^2-d^2) =c^2(10^{2n}-1) 

 (a^2-d^2)(c^2-d^2) =d^2(10^{2n}-1) 
 
 ac=bd 
 
 (a+b)(b+c)(c+d)(d+a)(a-b)(b-c)(c-d)(d-a)=abcd(a^2-b^2+c^2-d^2)^2  
 
分解型複素数虚数単位を j とすると

(s-tj)(u+vj)=10^n+j

 

 (s^2-t^2)(u^2-v^2)=10^{2n}-1 

 

 su-tv =10^n 
 sv - tu = 1 
 

a = su,\,b=-sv,\, c=-tv,\, d=tu 

 

 s=\gcd( a, b ),\; t=\gcd(c, d) , \; u =\gcd(a, d) ,\; v=\gcd (c, b)

 

 a^2-b^2+c^2-d^2 =(s^2-t^2)(u^2-v^2)

 (a+b)(a-b)+(c+d)(c-d) =(s+t)(s-t)(u+v)(u-v)  

 

 

  \cfrac{s^2}{s^2-t^2} =  \cfrac{a^2+b^2}{10^{2n}}+\cfrac{a^2+b^2}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{t^2}{s^2-t^2} =  \cfrac{c^2+d^2}{10^{2n}}+\cfrac{c^2+d^2}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{u^2}{u^2-v^2} =  \cfrac{a^2+d^2}{10^{2n}}+\cfrac{a^2+d^2}{10^{4n}} +\;...

  \cfrac{v^2}{u^2-v^2} =  \cfrac{c^2+b^2}{10^{2n}}+\cfrac{c^2+b^2}{10^{4n}} +\;...

 

 \cfrac{s^2}{s^2-t^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{b+1}{10^{2n}}-\cfrac{c}{10^{3n}}-\cfrac{d+1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{t^2}{s^2-t^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{d+1}{10^{2n}}-\cfrac{a}{10^{3n}}-\cfrac{b+1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{u^2}{u^2-v^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{d+1}{10^{2n}}-\cfrac{c}{10^{3n}}-\cfrac{b+1}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{v^2}{u^2-v^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{b+1}{10^{2n}}-\cfrac{a}{10^{3n}}-\cfrac{d+1}{10^{4n}}+ \;...

 

 \cfrac{s^2}{s^2-t^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{b}{10^{2n}}+\cfrac{a}{10^{3n}}+\cfrac{b}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{t^2}{s^2-t^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{d}{10^{2n}}+\cfrac{c}{10^{3n}}+\cfrac{d}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{u^2}{u^2-v^2}=  \cfrac{a}{10^n}+\cfrac{d}{10^{2n}}+\cfrac{a}{10^{3n}}+\cfrac{d}{10^{4n}}+ \;...

 \cfrac{v^2}{u^2-v^2}=  \cfrac{c}{10^n}+\cfrac{b}{10^{2n}}+\cfrac{c}{10^{3n}}+\cfrac{b}{10^{4n}}+ \;...

 

 \cfrac{u^2}{u^2-v^2}=  \cfrac{|a|}{10^n}+\cfrac{|d|+1}{10^{2n}}+\cfrac{|c|}{10^{3n}}+\cfrac{|b|-1}{10^{4n}}+ \;...

 

おまけ3:s,t,u,v から a,b,c,d を求まることの証明

これは大事ですがしてなかったのでここに記載しておきます。

一般の  x^2+y^2 =px+qy で示します。

(s+ti)(u+vi)=p+qi が成り立つとき

a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=-tu  すなわち、

 (su)^2+sv^2 =psu+qsv 
 (-tv)^2+sv^2 =-ptv+qsv 
 (su)^2+tu^2 =psu+qtu
 (-tv)^2+tu^2 =-ptv+qtu 
が成り立つことを示します。
 
(s+ti)(u+vi)=p+qi
を展開して
 su-tv+(tv+tu)i =p+qi

 su-tv= p, \; sv+tu = q

になります。この式を  stuv = stuv に代入することで  tv, tu を消去します。

 su(su-p) = sv(q-sv)

展開して整理すると

  (su)^2+(sv)^2 = psu +qsv

これで示せました!他三つも同様にできます。 

 

 

 

おまけ4:a,b,c,d から s,t,u,v が求まることの証明

前回似たことをやった気もしますが記載しておきます。

 x^2+y^2 =px+qy の4対の格子点 (a,b), (c,b),(a,d),(c,d) 関して a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu を満たす整数 s,t,u,v が存在してさらに (s+ti)(u+vi)=p+qi因数分解できることを示します。

 

円の中心(\cfrac{p}2,\cfrac{q}2)との対称性より

\cfrac{a+c}2 = \cfrac{p}2 , \cfrac{b+d}2 = \cfrac{q}2

a+c = p , b+d = q となります。

 

 a^2+b^2 =pa+qb      を移項して
-pa+a^2 = qb -b^2     括って
 -a(p-a) = b(q-b) 
関係式  a+c = p, b+d = q を用いると
 -ac=bd  となります。
そのため前回示したように下の図より
 a = su,\,b=sv,\, c=-tv,\, d=tu を満たす整数 s,t,u,v が存在します。
※前回、 s,t,u,v自然数でしたが今回は整数です。今回は c -tv になるように設定しています。

 これを  a+c = p, b+d = q に代入すると

 su-tv= p, \; tv+tu = q
後者に i  をかけて前者に加えると
 su-tv+(tv+tu)i =p+qi
(s+ti)(u+vi)=p+qi
 
おわり!